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サラの鍵

2012年1月27日(金)

1995年7月、フランスのシラク大統領の演説が、当時のフランス国民に大きな衝撃を与えた。

第2次大戦中の1942年、ナチスの占領下にあったパリで、13000人以上のユダヤ人が、フランス警察によって一斉検挙されて、ヴェルディヴ(冬季競輪場)に押し込められ、さらにアウシュビッツなどの収容所へ送られたというのだ。
自由・平等・友愛の精神を何よりも尊ぶと言われるフランス人自身の手によって、このユダヤ人迫害が行われたという事実に、大勢のフランス人がショックを受けただろうことは想像に難くない。

パリ在住の作家タチアナ・ド・ロネの著した「サラの鍵」は、このヴェルディヴ事件に端を発した物語で、全世界で300万部を突破するベストセラーになり、ノーベル平和賞の受賞が決まった後投獄された中国人作家・劉暁波氏が、獄中で読んだ本として話題にもなったそうだ。

この原作「サラの鍵」を映画化したのが、フランスのジル・パケ=ブレネール監督の同名の映画「サラの鍵」である。




ある夜、アパルトマンに踏み込んだフランス警察によって、10歳のサラの家族は強引に連行される。
その時サラは機転を利かして、弟のミシェルを納戸に隠し、鍵をかけた。
ヴェルディヴ(冬季競輪場)から、さらに収容所に連れて行かれたうえ、両親とも離ればなれになったサラにとって、気がかりなのは納戸に隠した弟のことだった。
ついにサラは収容所を脱走する。納戸の鍵を持って・・・




延々と続く麦畑を走り抜けて逃げたサラは、心ある村の老夫婦に助けられ、2人の協力を得てついにパリのアパルトマンに帰り着く。
サラの家にはすでに別の家族が暮らしていたが、家に飛び込み納戸の鍵を開けてサラが見たものは・・・・

この映画では、原作と同様に過去と現在とが交互に描かれている。
現在の主人公は、アメリカ人ジャーナリストのジュリア。
彼女は雑誌の特集記事でヴェルディヴ事件を担当することになり、さっそく取材を開始するが、やがて衝撃的な事実に出会うことになる。

夫の祖母から譲り受けたアパルトマンには、1942年の7月までユダヤ人の一家が住んでいたのだ。
夫妻はアウシュビッツで亡くなったという記録があるが、10歳の娘のサラとその弟のミシェルの記録はない。
2人の子供はどうなったのだろうか。

サラの足跡をたどるうちに、ジュリアの義父である夫の父親がまだ幼い時、引っ越したばかりのアパルトマンに、突然少女が現れたという事実が明かされる。

助けてくれた老夫婦のもとで成長したサラは、やがてアメリカへと旅立っていくが、彼女を待ち受けていた新しい生活も、彼女の深い悲しみを消し去ることはできなかった。

そして、サラの残した一人息子とジュリアが出会い、真実が徐々に明らかになっていく。




ストーリーを、ここで書ききることはとてもできそうにない。
ただ、心から感動する映画だったことは間違いない。

幼い少女サラの一途な純真さと、彼女が受けた大きな心の傷。
観客である自分は手をさしのべることもできない。
少女役のメリュシーヌ・マイヤンスも、成長したサラの影のある美しさを演じるシャーロット・プートレルも、どちらもよかった。

サラの悲しみを自分の痛みのように感じるジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)。
生まれた娘の名を告げる最後の場面だけが、この映画の救いだったかもしれない。

by koma-jin | 2012-01-27 21:39 | Movie & Drama | Trackback | Comments(0)

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